四季のエッセイ 境内便り 【19】2012年 春

− 春の密蔵院といえば どんなことを思い出しますか?
やはり、安行桜ですね。 今年は遅咲でしたが、いつも春のお彼岸に満開になる早咲の桜ですから、一足早い春を体感しようと近隣の方々はもちろん、遠くからお越しになる人も大勢いらっしゃいますからね。 祖父や父が育てたこの安行桜を引き継いで 手入れや管理することができて、とても幸せに思います。 まあ、それだけに責任重大ですね(笑)。
− お寺での春の仕事はどのようなことをするのですか?
主に植木に肥料を施したり、植栽、移植、伐採などです。 春は新芽の延びる時期なので庭木の手入れなどはあまりありません。 新緑はとても綺麗なので見ていて楽しめるし、とても癒されると思います。
− 苦労されることはありますか?
高木の伐採などは、転落事故や下にある植物を痛めないように気をつけています。 肥料を施す時は、量や施す場所、穴を掘ってやる場合は埋めた時に地面が元の自然な状態になるよう庭が荒れないよう綺麗にすることを心がけています。
− 安行桜は沖田桜といわれています。 お爺様や亡くなられたお父様の思い出など教えてください。
子供の頃、祖父が自慢げに安行桜のことをよく聞かせたくれました。 「珍しい早咲きの桜があったから密蔵院の山道に苗木を植えたんだ。今ではこんなに大きくなって桜の名所になった」と自慢げに話していたのを覚えています。
父も安行桜が大好きで、花が咲くと枝を取ってきて家に飾ったり、お客さんや友人に「この桜は色がとても綺麗なんだ。切花にしても大丈夫なんだ」と言って切った枝をあげていました。 生前に父が入院中に安行桜の枝を病室に持っていったら目が輝いて、看護師さんに「うちの桜ですよ。色がとても綺麗でしょう!」と言ってとても喜んでいましたね。
− 沖田さん、ありがとうございました。また夏にお話お聞かせください。