新年あけましておめでとうございます。
日が落ちてきましてから風が強うございましたが、天候の上では本当に穏やかな除夜・新春を迎えられたことを、心からお祝い申し上げる所存でございます。
新年を迎えてこんな話はいかがなものかと思いますが、令和六年は元旦から能登半島地震、そして2日目は海上保安庁とJAL機の接触による航空事故という、大変先行きが心配される新年を迎えたわけでございます。本年は今日の天気のように、多少は波乱はありましょうけれども、穏やかな一年であってほしいと願うところでございます。
また、世界に目を向ければウクライナ戦争、あるいは中東における紛争も非常に切迫している状態でございます。国内に目を向けてみれば、先般の総選挙で少数与党という結果となり、そうした中、不況や少子化、高齢化社会というような社会現象の中、不安が絶えないわけでございます。
昨年12月中旬頃、私は所属しております川口東ライオンズクラブにて、年に一度の会長からのご依頼により、お坊さんとしての法話を1時間ほどさせていただきました。その際のテーマは憲法についてでございました。現行の日本国憲法ではなく、聖徳太子様がお作りになったとされる十七条憲法の一条一条について、説明をさせていただきました。
この十七条憲法は、皆様方よくご存じのように「和を以て貴しとなし、逆らうことなきを宗となす」で始まりますが、これは当時の国民に向けての憲法ではございません。天皇を中心とする中央集権国家の建設のために、全国の豪族を役人として登用し、中央政権化を図るという趣旨で制定されたものでございます。
「和を以て貴しとなし、逆らうことなきを宗となす」とは、すなわち、お互いの心が和らぎ協力し合うことが大切であり、むやみに反抗したり反発して争いとならないようにしようという教えでございます。
現代を振り返りますと、闇バイトによる強盗事件や、住民の方々の尊い命を奪ってしまう事件、また親殺し、子殺しなど、痛ましい出来事が続いております。二、三十年前までは、安全こそが日本の誇りであり、財布が路上に落ちていても拾った人が交番に届けるという、外国の方々が驚嘆するような安全神話がございました。しかし、昨今の現状はいかがでしょうか。
やはり、お互いを思いやる心を持って、穏やかな日本であってほしいと心から念願いたします。一人一人がしっかりと道徳・倫理感を持って生きることが、この混迷なる社会における我々の身の処し方ではないかと、強く感じるところでございます。
ご参列いただきました皆様方には、日々、當山の発展にご尽力いただき、心より御礼申し上げますとともに、新年を迎えてのご支援ご協力をお願い申し上げます。皆様のご健勝と日々のご発展、ご活躍を心からご祈念申し上げ、年頭にあたっての一言のご挨拶とさせていただきます。
本当に大変お寒い中、ご参列ありがとうございました。
合掌
密蔵院住職 山口正純